事例紹介
アサゴエ工業株式会社様
堀:本日はお忙しい中、インタビューのお時間をいただきありがとうございます。
今回は御社の新卒採用の取り組みについてお話をお伺いしたいと思っております。
藤原宏嗣(以下宏):なるほど、わかりました。
藤原芳夫(以下芳):当社のことでよければ、出来る限りお伝えしましょう。
堀:ありがとうございます。
ではさっそくですが新卒採用に力を入れようと考え始めたきっかけを教えてください。
芳:人手不足の影響を受け、当社の採用もとても難しくなってきていました。このままではまずいということで総務からは休日を増やしてはどうかという提案が上がってきましたが、そうなると休日目的の人たちばかり集まってしまう、そうではなく本当に当社の事業や仕事に価値を感じた人が来てくれる方法はないかとずっと考えていました。
そのタイミングでキョウエイ藤原保険事務所の藤原啓介さんから面白い採用をしている人たちがいるということで御社の紹介を受けたんですね。
堀:なるほど、そういった経緯があったんですね。
芳:そうなんですよ。
そして御社の採用に対する話をお伺いしたときに、仕事の価値について共感できるような採用方法を自社グループ内で実施し、実際に結果が出たとお伺いしたのでとても面白そうだなと感じたので、一緒に新卒採用を作り上げていこうと思ったのがきっかけですかね。
堀:その節はありがとうございました。まず一緒に選考を作り上げていくために採用キックオフミーティングを行い、新卒採用のコンセプト“世界一の仕事に触れてみないか”というメッセージを作り上げましたが、できあがったときの感想を教えてください。
芳:正直、風呂敷を大きく広げ過ぎではないかという印象がありましたね。
宏:世界一という表現に慣れていない部分があったので当初は戸惑いました。しかしよくよく考えてみると、私たちの仕事は確かに世界一の仕事に携わっていると改めて認識できたので、今となっては腑に落ちていますね。
堀:まず興味を持ってもらう切り口という意味ではとても良かったと思っています。
芳:そうですね。合説で伝えるときは正直ドキドキしましたが、学生からは「合説会場で聞いたプレゼンで一番面白かったです」という言葉が聞けたことが嬉しくて、印象に残っています。
宏:想像以上に学生の反響があったので最初のインパクトとしては良かったと思っています。
堀:その世界一の仕事について伝える説明会兼体験会として、錬金体験カグツチを新しく企画しましたが、かなり準備は大変でしたよね。
芳:大変でしたね。手作りのフライパンを作ってもらうために型の設計、砂の準備、できあがった型の搬送、置き場の選定、鉄を注ぐ場所、安全面の確保などあらゆることを考えなければなりませんでした。企画の大枠は私が作ったんですが、それ以降は現場の段取りを見ながらリクルーターが中心となり、進めてくれたので実施できたと思っています。
堀:現場を巻き込んだ体験会だったので、社内の変化もあったんではないですか。
芳:外部からあれだけたくさんの学生がくるのは初めてのことだったので現場の社員にとっても見られているという意識がでてきたと思います。空いていた壁の穴がふさがったりしていましたし。
宏:やっぱり外部から見られていると思うと全然違いますからね。これまで本社工場でも説明会自体はやってはいましたが、採用チーム以外の現場の社員が学生と一緒に、作業するのが初めてだったので全然雰囲気の違う体験会になったと思います。
芳:参加してくれた学生は「楽しかった」「面白かった」「人生初の体験だった」と楽しそうに話してくれたので、やってよかったなと思いました。
堀:とても盛り上がった体験会に感じました。回数を重ねるごとに学生さんもそうですが、社員さんも楽しんでいるように見えましたよ。
芳:本当にそうだと思います。最終日なんて学生のフライパンだけでなく、社員用のフライパンも大量に作って、それぞれ社員が持って帰っていましたからね。自宅に持ち帰って自分の仕事について自慢した社員もいたようですよ。
堀:楽しそうに仕事をすることが、仕事の魅力を伝えるなによりの方法だと思います。
製造業に興味を持ってくれた学生に対しては、その後御社のビジョンを伝えましたが、ビジョン作成をするにあたって苦労されたことはなにかありますか。
宏:仕事の本質的な価値観については私たちで共有できていたので、考えをすり合わせる時間はあまり必要ではありませんでした。苦労したのは明文化することですかね。どうすれば分かりやすく伝えることができるのか、根が真面目なのでどうしても作文調になってしまう。しかしそれだと、心に響くビジョンではなくなってしまうので、そのバランスが難しかったですね。
芳:学生だけに伝えるのではなく、社員に対しても自分たちの仕事が一体何の役に立っているのかを伝えるものにしたかった。自分たちの仕事について改めて定義して、明文化するというのはしなければいけないと思っていましたが、難しさを感じましたね。
堀:お二方それぞれの想いを入れて作り上げるので、1つビジョンとしてまとめるのは難しかったですよね。
芳:そうですね。今回のビジョンになったきっかけは御社と打ち合わせをしていく過程で“守る”というキーワードを入れてはどうかと提案してもらえたのがきっかけになりました。
私たちの仕事はものづくりの土台です。土台がなければものづくりは始まらない、だからこそ守り続けるんだと気付いた時に言葉がわいてきましたね。
宏:こういうのは1つのきっかけさえあれば、一気にできるものなので良いきっかけだったのかなと思いますね。
堀:そうですね。選考でビジョンを伝えることで学生に対して御社の仕事の価値をはっきりと伝えられたと思います。
宏:そうですね。この選考ではアサゴエ工業が社会に提供している価値についてしっかりと学生に対してメッセージできたと思っています。
堀:その選考を乗り越え入社してきた新入社員はこれまでの新入社員と何か違いは感じますか。
宏:個人の資質による違いがありますので、すべてが採用によって変わったといえるわけではないとは思いますが、仕事に対して熱血な子たちが多い印象がありますね。選考で伝え続けたのでアサゴエとはこういうものだというマインドが既に育っていると思いますね。
堀:それは素晴らしいですね。仕事に対して前向きな若手が入社すれば、先輩社員にも良い影響を与えそうですね。
宏:そうですね。1年目の最終選考当たりからリクルーターが特に成長したなと感じています。選考を通して、自社の仕事とは、価値とは、魅力とは、を自らの言葉で伝えなければならない状況の中自分自身が問われていき、磨かれたように感じます。
芳:学生に対してなにを思って仕事をしているのかを語ることはリクルーターにとっては非常に良い訓練になりました。自分たちの仕事の価値を自分たちの中で定義して、説明するいい経験になったと思いますね。
堀:新卒採用に携わったことで、若手社員も成長を見せ始めているということですね。
今、経営層のお二方が新入社員に期待することはなんでしょうか。
芳:そうですね、僕の想像をいい意味で超える人材になってほしいと思います。期待通りに育つのはつまらないですよね。
宏:将来的に当社に子どもを入社させたいと思えるような会社に自分達がするんだと思ってほしいです。自分自身が良い会社にするんだと自分事に思える社員になってほしい。製造業というのは一代で終わってはいけないので、脈々と良くなっていく会社を目指していきたいですね。
堀:私も御社に入社した新入社員が活躍してくれることをとても期待しています。
新卒採用に力を入れ始めた後で、他にも社内で何か変化はありましたか。
宏:新卒採用に携わったリクルーターと現場で指導するトレーナーがちょうど同じぐらいの年頃なので、新入社員について情報共有がスムーズにできており、会社全体でサポート体制ができているように感じています。
芳:リクルーターがもう、親鳥のような気分で責任感をもって新入社員に接しているように感じています。現場の社員もいい加減な育て方が指導は出来ないと思って日々接しているので、新入社員の彼ら彼女らにとっても、いい環境になりつつあるように感じますね。
堀:会社全体で新入社員を受け入れようと変わっていくとは、とても素敵なことですよね。
それでは最後に、私たちへ期待することを教えていただければと思っています。
芳:私は会社をより良くするのは採用と社内変革の両輪を回していく必要があると思っています。採用についてはこれからも共に協力していきたいと思っていますので、もう一方の社内変革についても一緒に作り上げていきたいですね。
宏:これまでのお付き合いのなかで、アサゴエについて知っていただき、より良くなるための提案をいただいています。今後とも、より良くしていくための提案をしていただくことを楽しみにしています。
堀:かしこまりました。今後も御社がより良くなるための提案を全力でさせていただきます。本日は貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。
宏・芳:こちらこそ、ありがとうございました。